Vampire

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カーテンの隙間から外を覗き見たジローは、庭にいるブン太と幸村の楽しそうな姿に軽く溜め息を吐いた。
二階にまで届くブン太の笑い声。
ブン太は笑うと少し幼い感じになる。それは第一印象でも思ったことだが、ジローの前でああいう風に無防備に笑顔になることはまれにしかなかった。
(仕方ないけど…さ…)
そもそも幸村はブン太の友達で、ジローは温情で置いてもらっているただの闖入者だ。
どうして自分をここに置いておいてくれているのかさえ不明なのに、張り合おうというほうが間違っている。
嫌われたくない。
そんなことはいつも一緒にいた仲間にさえ思ったことがなかったというのに。
(なんだろう、嫌だな……)
初めての感情に戸惑いを隠せないジローは、抱きしめたクッションにバフっと顔を埋めた。


***
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