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□えいぷりるまーち
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「丸井くん、あのね……」
言いにくそうにジローが切り出した。
「俺、もう丸井くんの練習見に行けないかも」
「ふーん?」
「みんなにもう行くなって言われちゃって」
それに対するブン太の対応は「あっそ」という至極そっけないものだった。
歩きながら噛んでいるガムを膨らませては割る、というのを繰り返している。
ジローの『春休みなんだし、遊んでください!』という幾度ものメール攻撃により、ケーキ奢ってくれるならと承諾したのは昨日のことだ。
誘っておきながら、今日一日そわそわしていたジローの態度は確かに変だったなと思い納得する。
しかし、特に気にした様子もなく、歩くスピードも緩めないその姿に、必死になったのはジローの方だ。
「丸井くん!俺が来なくなっても寂しくないの!?」
「いや、別に」
ガーンとショックも露に立ち止まったジローが、それでも後ろを見ることなく歩き続けたブン太にダッシュで追いついて、その腕に縋りついた。
「嘘です!毎日だって会いたいのにやめるわけないじゃん!」
「や、もう来なくていいから。ほんとに」
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