Main

□とりあえず違えようのない事実
1ページ/4ページ

ブン太に会うと、必ず聞く名前がある。
『幸村くんが…』
『幸村くんと…』
『幸村くんに…』
その口から名前が出るたびに、大好きなんだろうなーと思わせられて、少し(どころかかなり)複雑な気分にさせられる。
それでも途中で遮ったら不機嫌になるし、逆ギレしてジローが不機嫌になったとしても、ブン太はジローがなぜ怒ってるのかわからないため、ジロー以上にキレてしまう。
そんなことを数回繰り返して、ジローは諦めることを覚えた。
大体幸村くんのことを話すブン太は楽しそうで、妬けるけれどそんな顔が見れるのはその時くらいなもの。
何度か幸村くんと話しもしたけれど、雲の上ってくらいすごい存在の人のはずなのに、気さくに会話してくれてお菓子までくれた良い人だ。
だからブン太の気持ちがわからないわけでもない。
実際、同じ学校でずっと側にいたりしたらジローだって好きになるかもしれない。
今だって恋敵のはずなのに憎めない以上に尊敬もしているくらいだし。
だけど。
そう。でもそこに続く接続詞は、だけど、なのだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ