【たらばがに】
ある朝起きるとたらばがにが枕元でチークダンスを踊ろうとしていた。
田中林は音速でそいつを捕まえ、朝食にしては多いかもなまあいいかなどと思いながらも茹で始めた。
その瞬間。
「キエーい」
たらばがにの背が割れ、中から田中林の担任、先逝(さきいく)が現れた。
「先逝!」
「やあ田中林くん。どうして君はたらばがにを食べるんだい?」
先生は淡々と田中林にといた。
「うまそうだったからです」
「黙れウンコマン」
ち、違う…!いつもの先逝じゃない…!
田中林はひるんだ。
「どうしたんだよ先逝!」
「ええい黙れ黙れ!黙ってりゃあいい気んなりやがってこのがきゃあ!ここで日頃の恨みを」
じゅっ
田中林は火を強めた。
「あ…あつっ」
先逝は湯の中で暴れた。
「こ、こら!先生を茹でるとは何事だ!あつっ」
ちゃぷちゃぷ
たらばがにはゆるゆると赤くなっていく。
「田中林!やめなさい!あっつ!やめて下さい!」
「ほう」
いつもの先逝が現れた。
「やめて下さい!田中林さんんん!あっちィ!」
「僕、かに好きだから」田中林はにっこり微笑んでふたをした。

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【なんとなく】
田中林は悩んでいた。
これから先逝の授業が始まるが、なんとかして阻止したいとなんとなく激しく思った。
だが。
「田中林!」
先逝が呼び止めた。
「何をしてる。もう授業が始まるぞ」
亀の甲羅に爆薬を詰めていた田中林は、ちっと軽く舌打ちをして振り返る。
「先逝。お前に用がある」
「だから先生だr」
「この亀を」
田中林は爆薬の詰まった亀を差し出した。
「飼え」


先逝は田中林に逆らえない。
なぜなら遠い約束があるから。

先逝は飼っていた亀と共に自殺した――と次の日の新聞には書かれていた。


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