宴の文庫
□第2章〜1〜
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灰が風に散ったと同時に一人の少女がシリウス達の目の前に姿を現した。
その少女は、肩までのびた茶髪、紅の瞳・・・
見た目からしてシュウと同じ年くらいだろう手に持っていた杖をブレスレットに変え身に着けるとゆっくりとシュウに歩み寄る。
「シュ・・・ウ?シュウだよね!?何でここにいんのよ!?」
ビシッとシュウに向かって指を差し、声を上げた少女。
「お前こそ何してるんだよ!ユリア!」
どうやら二人は知り合いらしく互いの名前を叫んだ。
「私は・・・〈ニンム〉よ〈ニンム〉!ここ最近、妖人の出現が多くなってきたからさ・・・」
シュウが名前を読んだ少女・・・ユリアがそうゆうとシュウは軽く相槌を打ちながら手に持っていた双剣を鞘に納める。
フとユリアがシリウスの方を向き首をかしげる。
その視線に気付いたシリウスは二人のそばへ歩み寄った。
「貴方・・・は?」
シュウは途中の間を気にしながらもシリウスを紹介しようと言葉を紡いだ。
「あ〜と、コイツはシ・・・「クロスだ、クロス・グレイブ。」・・・ぇ・・・」
名を言おうとした瞬間シュウの声は本人に遮られる。
「そう・・・ですか、お疲れでしょう?街まで案内しますよ。」
ユリアはにこやかに言うと、二人より前に出て歩き出した。
ユリアに案内された街は空鈴〈ハーメル〉の街、商工業の盛んな街である。
「ユリアちゃん、お客さんかい?」
「うん!」
街の人々と仲がいいのかユリアに時々声がかかる。
宿にシリウス達を案内するとユリアは
「んじゃ、〈ニンム〉のこと伝えてくるね、またね〜。」
そう、手を振り宿を後にした。
「なぁ、シリウス・・・なんでアイツに、ユリアに偽名を教えたんだよ。」
ユリアが去って数分、その静寂を破るようにシュウは言葉を発した。
シュウの問いに刀をたなに立てかけ、銃をそのたなの上に置き、ベットに腰を下ろしたシリウスはユリアの去った後を視線で追い、瞳をシュウに戻す。
「理由・・・ねぇ・・・、人の闇ほど見えにくいモノはねぇな。」
「は?」
「そのうち、わかる。」
「???」
この時、シリウスの言った言葉の意味を俺は後々思い知る事になった。
〜続〜