宴の文庫
□第2章〜2〜
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シリウス達に手を振り、宿を後にした少女・・・ユリアは町の離れにある森の中を進んでいた。
薄暗く、不気味な森の中を数分・・・木々が開けていき、大きな邸が姿を現す。
ユリアは怪しく佇む邸の中へ入っていった。
「もう、戻ったの?あの女は・・・神子はどうしている?」
暗闇の中、突如響いた声にユリアはビクリと方を震わせ立ち止まる。
「はい、宿で・・・休んでいます・・・でも、あの人は本当に神子なんでしょうか・・・あの人は、クロスって・・・」
恐る恐る、声の主に言葉を返す。
「あの女は神子・・・あの髪も瞳も忘れはしない、奴の名はシリウス・C・グレイブ・・・さぁユリア神子を殺してきなさい!!」
「・・・っ・・・・はい」
ユリアは自らの爪が食い込むほど握り締め、邸を後にした。
街を闇夜と静寂が支配する中、宿にて身体を休めていたシリウスがフと目を覚ました。
「・・・。」
むくりとベットから起き上がり、刀と銃を腰に携え立ち上がる。
街は夕方とは違う・・・冷気が纏わりつくような異様な雰囲気に包まれている。
不自然な感覚にシリウスは顔を顰めた。
「ん〜、・・・どうしたんだ?シリウス・・・」
シリウスが立ち上がり窓を見つめている事の気付いたシュウは、まだ眠気の覚めない目をこすりながら起き上がる。
「なぁ、シリウス?・・・!」
シュウも異様な気配に気付き勢い良く立ち上がった。
双剣を手に、シリウスに視線を向ける。
「これって・・・「外に出るぞ。」・・・!まって、待ってくれ。」
歩き出し、ドアにむかうシリウスをシュウは悲痛な面持ちで呼び止める。
「気配の・・・妖人の気配の中にアイツの、ユリアの気配が混じってる・・・」
「・・・」
シリウスは無言のまま、シュウの方を向かずに言葉を聞き入れる。
妖人の中のユリアの気配・・・襲われて焦っているわけじゃない、シュウは嫌な予感がした。
「シリウス・・・。」
すがるような悲しげな声にシリウスは・・・
「・・・自分の目で確かめろ、彼女の背後に何がいるのか。」
そう言って部屋を出た。
シュウも無言でシリウスの後に続く。