宴の文庫

□第1章〜1〜
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いつもは市や祭りで賑わい笑顔や人の声が絶えぬ街《華桜街》・・・
だが、今この街には 暗雲が立ち込めていた。

ここ数ヶ月、この街では人の行方不明や変死が続いていた。

「まただ、また・・・殺されてる」
「酷い・・・。」

街の中心に存在する教会
その神聖な場所で次々人が殺され 連日無残な姿で発見されていた。
賑やかだった街は静寂に包まれ人々はただ恐怖するしかできずにいた。

「くそ!どうしたら・・・!」

街を守る聖騎士でさえ何もできずにいる・・・一人の青年聖騎士は教会の門に強く拳を叩きつけて
防ぎようの無い事件と、その事実に歯噛みしていた。
聖騎士の一人である青年・・・シュウ・J・ストーリア。
教会の前に佇む彼の横を一人の女が何食わぬ顔ですり抜け
入る事の禁じられている教会へ脚を踏み入れた。
女は血で黒ずんだ土を踏みしめ傍に置かれているマリア像を見上げる。
それに気付いたシュウは門を超え教会の中へ・・・

「!・・・おい、そこの女!ここは聖騎士以外のものは立ち入り禁止・・・「まるで地獄だな。」

女の言葉に剣を構え様としたシュウはピタリと動きを止める。

「アンタ・・・何言って・・・。」

女はシュウの佇むほうへ目を向け、無音の敷地内で言葉を発した。

「常人である者には聞こえない・・・この場で殺され、喰われた者の声は・・・。
原因を消さなければ、この地に平穏が訪れる事はない。」

まるで、この街を包み込む闇を・・・
事件の元凶を知っているかのようにつむがれた言葉。
シュウは女の言葉にただ呆然と立ち尽くした。

「闇に侵食されれば人は皆・・・死に絶える」

その言葉に弾かれた様に反応する。

「・・・んな事、わかってんだよ!・・・でも俺には何も・・・「シュウ!何をしている!?」

シュウの言葉をさえぎるように一人の男が一人現れ叫んだ。

「え、剣士長?」

頭に?を浮かべシュウは男の方に目を向ける。
剣士長と呼ばれた男はシュウに歩み寄り一発・・・殴った。

ゴンッ!

「いっ!ちょ・・・何し「それはお前だ!・・・申し訳ありません、この者の無礼をお許しください。神子様。」

神子・・・彼女の名はシリウス・C・グレイブ
剣士長のその言葉にシュウは

「嘘・・・だろ?」

驚き言葉を失った。
見た目的に自分より少し年上くらいで、やけに大人びている女・・・
金糸のような髪と深い紫の瞳、彼女が『神子』

「・・・別に気にしてなどいない。それより、騎士団長に会わせて貰いたい。」

彼女・・・シリウスがそういうとシュウの隣にいた男は案内すると言い歩み出した。
その後を追うようにシュウとシリウスが着いていく。

「アンタ・・・神子だったのか・・・」
「あぁ・・・なぁ、お前・・・「神子様、こちらへ」・・・また、後でな。」

剣士長の言葉にさえぎられたシュウへの問い・・・
シリウスはポツリとそう呟き城門の中へと消えた。
『・・・?』
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