□暑さと緊張
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ピピピピピガシャン

現代特有の電子音で目を覚ます

1000年前の人達はこんな電子音で目覚めることになるなんて、思ってもいなかっただろう


それが当たり前になっている私たちにとって、過去の人達の思いを理解することは難しいことだと思う


でもジメジメしたこの湿度と、今窓からこぼれる外の日差しを見て思うことはきっと変わらない



「今日は暑くなりそう」



さんさんとまぶしい太陽が窓から射していた




[暑さと緊張]




衣替えした制服を身に纏い、ポケットに入れてるiPodで専任読手さんの歌を聞きながら登校


ときたま、素振りの手が出ちゃうのがちょっと恥ずかしい


「ひとめもくさも枯れぬとおもへば」

「きりぎり…」


そのとき不意に肩をポンと叩かれた


「ん?」

振り返ってみると、昨日見た覚えのある顔………

耳からイヤホンを抜けば、その人は口を開いた


幸「おはよう、藤原さん」



朝に相応しい爽やかな笑み...


「……学級委員の、ゆきむらくん」


幸「ふふ。どうしたの」



思い出したぁあ!

私、かるた以外になるとどうしても記憶ができないんだよなぁ…

ほんと、この癖直したい


「ううん、何でもない。おはよう、幸村くん」


幸「ふふ、思い出したから良しとしようか」



うん。
今、寒気がしたのは気のせいじゃないと思う



幸「それにしても、ずいぶん早いね」

「幸村くんこそ。もしかして昨日終わらなかったとか?」


時計を見れば7時15分を過ぎた頃。

私は朝練のためいつもこのぐらいだけど……。


幸「あれは終わったよ。いつも部活の朝練で早く登校してるんだ。…藤原さんこそ」


「幸村くんと同じく部活で。って言っても勝手に一人で走り込みするだけなんだけどね」


かるたは立派なスポーツだ。
持久力から瞬発力まで、頭も身体も鍛えなくちゃ強くなれない。
風間さんみたいな強くて綺麗なかるたは取れない


幸「かるた部も大変なんだね」


「好きでやってることだから、全然へーきだよ。…幸村くんもテニスだからできるんでしょ?」


幸「そうだね」



おしゃべりしながら歩いてるうちに学校に着いた。



「じゃ、部活頑張ってね!」

幸「ありがとう。また教室で。」


爽やかな人と喋ってたら、なんだか爽やかな気分になれた気がする


よーし!
今日もがんばろ。



ジャージに着替えて、走り込みを開始した






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