text
□
1ページ/1ページ
※同高校設定
ねぇ……
ねぇ、ハル……
私は……あなた、が……
「好き、です……」
少し離れた前方の席に座る彼女、三浦ハルを執拗に(と自分で言うのもおかしいけれど)見つめながら誰にも聞こえないような声で愛を囁く。
今のような休み時間中でも、授業中でも、私の学校での日課はこれ。
いつまでも伝えることの出来ない、けれど決して曲がることのないこの想い……を。
「(いつか…ちゃんと言える日がくるのだろうか……)」
こんなことしてる自分が気持ち悪い。
でも、気持ちを一番よく分かってるのは私だから……やめろなんて、言えない。やめるなんて出来ない。
「(気持ち悪い…よね……ハル……?)」
「何してるの」
…………びっくりした。
「……雲の……人……」
放課後の教室に一人残っていた私。
見回り…なのだろう。
トレードマークである風紀委員長の腕章を付けた彼が、いつの間にかドアの所に立っていた。
いつもは声なんて掛けてこないのに……「何してるの」、なんて、一番嫌な質問だ。
「骸様は……いない、けど……?」
「そんな事聞いてないんだけど?」
少し苛ついたような口調で言われて、私は俯いた。
ツカツカと歩み寄られ、何を言われるのかと内心すごく怯えていると……
「いい加減やめたら?」
「…え……」
言葉の意味が分からなくて、顔を上げる。
彼の視線は、私ではなく窓の外に向けられていた。
「三浦のこと……諦めなよ」
「っ……!」
心臓が、跳ねた。
何で何で何で。
何で知ってるの……?
あまりの衝撃で、息が苦しくなってきた。
「毎日毎日、彼女のこと怖いくらいに見つめて、小さい声で告白じみた言葉を呟いて……」
「っ…ぁ……」
「放課後はこうして新体操部の観察、ね……全部知ってるよ、僕」
「!!」
さも愉快そうに笑いながら話す彼。
私は嫌な汗が流れ出るのを感じながら、必死に言い訳を探していた。
「そんなこと…ない……勘、違い……」
「…………」
途端に不機嫌な顔をする彼。
不快感がこっちにも伝わってきた。
怖い……逃げたい……。
私が目を反らした瞬間、彼は乱暴に窓を閉めた。
その行為に、私は体を震わす。
もう、やめて。
出てってよ……。
「ねぇ」
「……」
「ねぇって、ば」
ガンッ、と…私の後ろにあった机をひと蹴り。
私はまた、心身ともに震えた。
「話してるんだからさ、僕の顔見なよ」
何なんだろうこの人は。
ゆっくりと顔を上げる……きっと私、泣きそうな顔してるんだろうな……。
「分かってないようだから敢えて言ってあげるよ。その弱い頭でしっかり受け止めるといい」
「君、気持ち悪いよ」
汚いものを見る目で彼は、そう言った。
頭が、真っ白になった。
私は、気持ち悪い。気持ち悪い。キモチワルイ。
ぐらりと視界が反転したような気がして、私は床に膝をつく。
雲雀恭弥は淡々とカーテンを閉め、静かに教室から出て行った。
足元の私になんか気にも留めずに……。
窓で遮断された外から、ほんの少しだけハルの楽しそうな声が聞こえた。
そんな声にも愛しさを感じて、私は無意識に耳をすませる。
アア、マタソンナコトシテ……。
「ひっ……!」
どうして私はこうなんだ。
ああ気持ち悪い!気持ち悪い!
耳を強く塞ぐ。
自分が、怖い。
「っ……うああ゛ぁああ゛あぁ!!!!」
それでも思ってしまうのだ。ハルに会いたい、と。
『気持ち悪いよ』
「っう…っひっく……っ」
もう、嫌だ……
…頭がおかしくなりそう、だ……
助けて……
「骸、さ……ま……」
(そう……それでいいんですよ、クローム……)
内部破壊の計略
(クフフ……ありがとうございました、雲雀恭弥)
(別に。楽しめたよ)
********
…ようは徹底的に髑髏を虐めたかったのです←
解説…全部骸が雲雀に頼んでおいたことです。髑髏に真っ当な道を歩かせるために。雲雀は本来ならばそんな頼み聞かないんだけれど、実はハルの事好きだから協力してやった的な。
ちなみに新体操部がなぜ外にいるのかと言うと、校舎周りをランニングしてるからです(^o^;)