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ラルはハルに甘い。
いや、ラルがハルのこと好きなのは別にいいし、2人が仲良くしてくれるのはむしろ嬉しいんだけどさ…

ただ、ちょっと…ね。



綱吉の憂鬱


今日のオレの修行でのこと。
ヒバリさんと壮絶なバトルを繰り広げている最中に、アイツはやって来た。

「ツナさぁ〜ん!」
「っ…ハル!?」

ニコニコと暢気にドアを開けて入って来たハル。しかし、オレ達を見るなり「デンジャラスです!!」なんて叫び出した。

「何やってんだよ、ハル!そんな所にいたら危な…」
「よそ見なんかしてる余裕…あるの?」
「!? ぐぁ…!」

さすがヒバリさん…こんな時でも容赦なくて、オレのお腹に一撃をくらわせた。そして、狙ってか否か、宙に浮いたオレの体はハルの元へとまっしぐら。

どうしよう!当たる…!



ドガッ


……オレはハルに激突するより先に、ラルに蹴られた。
またも襲って来た激痛と浮遊感。
強引な方向転換だが、おかげでハルには当たらずに済んだ。…が、吹っ飛ばされたオレはそのまま壁に叩きつけられた。

「ふぎゃっ!!」
「はひー!ツナさん!?」

あまりの出来事に、つい死ぬ気も解いてしまった。
ったく、修行が台無しだ…

「ふん…ハルを危険な目に遭わせようとしたのが悪い」
「なっ…!今のオレが悪いのー!?」
「まぁ僕ではないからね」
「むしろあなたは確信犯でしょうが!!」

責任転嫁しようとするヒバリさんにとりあえずツッコミを入れつつ、オレにとっては一番の原因であるハルに目を向けた。

「大体ハル!」
「は、はいぃ!!」
「お前達にはいつも、ここは危ないから来ちゃダメだって言ってるだろ!?何で来たんだよ!」
「怒鳴るな」

スパンッ

「ほげぇっ!」

今度は殴られた…何なんだよ、もー…ランボとは全然態度が違うじゃないか!


この前ランボが来た時なんて…

「ガハハハ〜!ツナ!ランボさんと遊べ〜!」
「ちょっ…危ないって…!」
「邪魔だ。出て行け」
「ぐぴゃぁ!!」

…なんて、殴り飛ばしてたくせに…。


「…んで?何しに来たんだよ…?」

またラルに殴られないようにと、静かにハルに聞いてみた。

「お弁当を持って来たんです。今朝ツナさん、持って行くの忘れてしまったみたいで…」
「あ、そういえば…」

「はい、どうぞ!」と差し出された弁当を見たら、なんだか急に腹が減ってきて、胃袋が豪快に鳴った。

「はは…じゃあメシにしよっか…」
「ハル特製サンドイッチです〜ラルさんや雲雀さんと分けて食べてくださいね!それでは!」

敬礼を一つして、跳ねるように帰って行ったハル。アイツって、嵐のように来ては嵐のように去って行くよな…たまに獄寺君の代わりになれるんじゃないかって思う…。

「まぁそんな冗談は置いといて、弁当弁当♪」
「お前達にはやらん」
「はぁ!?」

ラルはオレから弁当をぶんどると、わけの分からない事を言い出した。

「何言ってんだよ〜!?」
「ハルの特製手料理をお前らなんかにやってたまるか。全部オレが食う」
「全部って…結構な量あるぞ!?」
「かまわん。夕食も、明日の朝食だってこれでいい」
「本気で言ってんの!?」
「そもそもハルの弁当を忘れるお前が悪い。ハルへの愛が足りてない証拠だ」
「愛とか言うなよ!恥ずかしいなっ!」

あーもー!!ビアンキじゃないんだからそういう事真顔で言うなよなっ

助けを求めてヒバリさんの顔を見た。その視線に気付いたヒバリさんが口を開く。

「…僕の分ならいらないよ。自分で(というか草壁が)持って来たからね」

クスリと悪魔のような笑みを浮かべ、「ちなみに君にはあげないよ」といらないダメ押しまでしてきた。


「はぁ〜…ラル、頼むから…」
「しつこい」
「ぶっ!!」




*


結局、ラルから三度目の"喝"をくらったオレは昼食を断念させられて、午後の修行はボロボロ…。

ったくラルの奴、ハルのこと好きなのはいいけどもう少し大人になれっての!



これから毎日こうなのだろうか?
憂鬱は当分続きそうだが、とりあえず弁当を忘れないことを第一に心がけていこうと思う。




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匿名様のリクで、"ラルハルで、ハルにだけ甘いラル"でした〜
テーマ的にギャグが良いかな〜と思って、ツナ視点でツッコミ豊富に書いてみましたが…い、いかがでしょう…;?

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