text
□
1ページ/1ページ
私ってば霧の守護者という大事な役目を担っているのに、普段はドジばかり!本当馬鹿!
「あっ…!」
「はひーっ!!」
べちゃっ!なんて間抜けな音とともに、体中に痛みが走った。
先ほど買った洋服やらアクセサリーやらが周辺に飛び散って……はぁ、また盛大に転んだものだ。今日、一体何度目だろうか…。
立ち上がる気力も失せる。
「だ、大丈夫ですか!?クロームちゃん!」
馬鹿みたい。せっかくのハルとのデートなのに…かっこ悪い…。
「うん…ごめん、ハル」
「気にしないでください!立てますか?痛くないですか?」
「う…ん、うん…」
ちょっと泣きそうな顔で手を差し伸べるハル。
こんな顔にさせたいんじゃない…
「まともに歩けない足なんていらないのにね…」
「へ…?」
ハルの手は借りずに立ち上がり、さっさと撒き散らした荷物を手に取った。
もう嫌…なんか泣きそう…
俯いてたら、ハルがギュッと手を握ってくれた。
「きっと疲れちゃったんですよ。近くの公園で休みましょう」
「………うん」
気を遣わせてしまう度につらい。
ハルの優しさが…痛い。
「わぁ〜!この公園、噴水があります!素敵ですー!」
公園に着くなり、はしゃいで噴水へと駆け寄るハル。でも何故だか肝心な水は噴き出していないみたいだ。
荷物を地面に置いて、2人で噴水に腰掛ける。
もうそろそろ日も暮れるせいか、辺りには人がいなかった。
溜められた水に光が反射して、きらきら綺麗…だけど何だか切なくなる…。ハルはその水面に指先を入れて物静かに楽しんでいる………ああそうだ、謝らないと…。
「…ハ…ル、」
「ごめん」と言いかけたところで、ハルは急に立ち上がった。
「ハル、今日はとってもとーっても楽しかったですよ!」
にっこりと笑顔でそう言ってくれた。
「ほんとに…?」
「ええ!だってクロームちゃんと一日中一緒に居られて、ハルは最高に幸せだったんですから!」
言いながら、勢いよくジャンプして先ほど座っていた部分に着地した。(あ、照れ隠し…)
高くなったハルを見上げる。
夕陽を背にして微笑む彼女はまるで天使。
…キレイ、ハル…。
「っ!!」
「はひー!?」
…一瞬、何が何だか分からなかった。
突然噴き出した大量の水、驚いて反り返るハル…
ハ ル が、 危 な い。
「ハルっ…!」
自分でもびっくり。
どんくさくていつもイライラさせる足が、腕が、全身が…、何よりも速く動いてハルを受け止めた。
ハルはいまだに何がどうなったのか分かってないみたいで、目をパチクリさせている。
「大丈夫…?ハル…」
「………」
「…?ハル…?」
「は…ひ…ハル今…クロームちゃんにお、お姫さま抱っこ…っ…!!」
みるみるうちに顔が赤くなっていくハル。
「顔がリンゴ…」
「おおお下ろしてくださいぃ!」
「…?」
言われるがままそっと下ろしてあげたら、すぐにそっぽを向かれてしまった。
「どうしたの…?」
「何でもないですー!」
「怒ってる…?」
「違います!」
じゃあ何…
「ク、クロームちゃんがっ…かっこ良かったんです!」
「へ…」
耳まで真っ赤っか。
あ、これってもしかして…
名誉挽回
出来たかも…?
(惚れ直した…?)
(はひー!何言ってるんですかぁ!)
****
クロームはたまにカッコいい事してハルをときめかせとけばいい´`