季節物

□君が帰るときには
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ユーリに魔力が無くなった。

ユーリの魔力は国中の傷ついたものを癒すために降り注ぎ、彼の中に残らなかった。

純粋な魔族なら命が無かっただろう。
彼の命が助かったのは、彼が半分人間だからだ。

「そっか。俺、魔力がなくなっちゃったんだ・・・」
ユーリはギーゼラにそのことを告げられても、呑気にも見える表情で静かにつぶやいただけだった。
すぐに自分以外の者の心配をしだす。
城の者たちは無事だったか、民は無事だったのか、小シマロン王は、聖砂国の王は、みんな無事だったのか・・・
「ユーリ!!この尻軽!!」
「ちょっ、何だよ!尻軽なんてしてないだろぉ?クル、苦しいって!!」
「お前は尻軽だ!!こんなときにまで周囲のものに気を回すな!!」
「ギブギブギブっ!!」
「周りばかりに目を向けないでちょっとは自分のことも見ろ。今くらい自分の心配をしないか」
「や、まじで苦しいから・・・」
ユーリは大げさに苦しんで見せながらも、僕の腕をぽんぽんと2回叩く。
「ありがと」
礼を言ってほしかったわけじゃないが、僕は腕を、放してやった。
「まったく、お前はとんでもない尻軽だ!!」

自分のことを省みない彼を責めたい気持ちもあった。
でも、ユーリらしいとも思った。
だから彼は僕が居ないとダメなんだ。

ユーリがどんな決断を使用とも、僕がユーリを守る。

僕は決意とともにユーリの横に立った。
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