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お好きなキャラアンケート上位5名によるもしもシリーズ。

〜もしもコルダメンズが執事だったら〜

***月森Ver.***





「おはようございます、お嬢様。アーリー・ティーをお持ち致しました」


ノックをせず、ドアを開ける。執事に許されている行為だ。
それでも、部屋の前で一礼し一言断りを入れるあたりは、律儀な性格をしている月森ならではの事。

主人にアーリー・ティーを淹れるのは執事として毎朝の日課。戸惑うことなく流れるような無駄のない動きで静かに入室する。淀みなくベッドの脇にあるサイドテーブルにお茶を乗せたトレイをそっと置きながら、返事のない主人に再度声をかけた。


「お嬢様。お茶のお時間ですが」


やはり返事がない。どうされたのかと無礼を承知でベッドを覗き込むと、中から小さくくぐもった、しかし強い意志を感じさせる声が聞こえた。


「嫌よ」

「……は?」

「紅茶なんかじゃ、起きないもの」


更に声を小さくさせながら、ずる、と布団を更に深くかぶった。
―――お茶なんかじゃ、というと一体何なら起きるのだろうか。


「お嬢様。それでは……どう致しましょうか」


―――愚問だということは分かっているが。
思わず口走った言葉に、ベッドの中の彼女が勢いよく体を起こして反応した。
 
 
「私にそこまで言わせるの?」

「私は執事ですから。きちんと命令して下さらなければ」


ふ、と笑みを浮かべると、ベッドに座りながら頬を染めこちらを見上げる双眸。


「蓮って、案外意地悪なのね」

「意地悪も何も、私は執事ですから」


目の前でさっきまでかけていた掛け布団を自分よりもいくらか小さい手で握り締めて、拗ねたように可愛らしい唇を尖らせる君が本当に可愛らしくて――確かに少し、意地が悪いかもしれないが。


「お嬢様。ご命令を」


ベッドの傍で片膝をついて見上げると、合った目をふいと逸らして可愛らしく小さく呟いた。


「……ス、して」

「お嬢様の、仰せのままに」


目を合わせず言う彼女が愛おしくて。
ふんわりと染めた頬に掌を添え、触れるだけの軽いキスをした。


「おはようございます。お嬢様」






Fine.09.03.10
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アーリー・キス〜月森Ver.〜


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