宝物
□Star Light Festival
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「美朱……?」
「柳宿…、笑わないで聞いて」
温かい、柳宿の肌。
男の子とは思えない、きめ細かな頬。
「ずっと言わないでいようと思っていたの。報われない想いだって分かっていたから」
―――でも、貴方を傍で感じる度に、この腕に抱かれたいと思った。
星宿に想いを寄せているのは重々承知だけれど、せめて仲間としてだけは、貴方の一番星でいたかった。
「貴方が好きなの、柳宿」
「そんな……だってあんた、鬼…」
「鬼宿は関係ない」
鬼宿も好きだけど、貴方に感じている気持ちとは少し違う。
鬼宿が誰と話していても微笑ましく感じてしまうけれど、貴方が別の誰かと話しているだけで、私の心はざわつくの。
男でも女でも、貴方が他の誰かと楽しそうに笑い合うのを見ているのは辛い。
「貴方だけなの、私の気持ちをこんなにも掻き乱すのは。……柳宿には星宿という想い人がいるから、恋人になりたいなんて我が儘は言わない。でも、それでも良いから貴方の傍にいさせて欲しいの」
「美朱…、バカね、あんたって子は」
柳宿は自分の頬に置かれた美朱の手を引っ張り、そっと自分の唇を美朱のそれに重ねた。
当の美朱は驚いて、すぐさま唇を離す。
「バカね、本当にバカ。私が何の為に、離れにあるあんたの部屋まで毎日通ったと思っているのよ。少しは私の気持ち、気付いてくれているかと思っていた」
「だ、だって柳宿には星宿という人が……」
「そうね、星宿様には誰よりも幸せになって頂きたいわ。共に巫女を護る仲間として、私の親友、そして戦友と、幸せになって頂きたい」
「親友…戦友…?」
「そう、私の大事な人たちよ。いつか聞かせてあげるわ。私が今まで辿ってきた話を。―――あんたにだけ特別に、ね」
「特別…」
自分を一人の女として見てくれている彼に、美朱の涙腺は緩み出した。
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