宝物

□Star Light Festival
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「うわぁ…大盛況ねぇ!」

美朱の手を引き、柳宿は大衆の中を掻き分けて進んだ。

祭りの夜にとても相応しい、冬の流星群。

春に訪れる朱雀七星の星たちも、ちらほら顔を見せ始めている。


色とりどりの提灯に、たくさんの出店。

そして近くの河原では、灯籠流しのようなものが行われていた。


翼宿の言っていた通り、今年のお祭りは例年以上の賑わいの為、身の置き場を確保できず、美朱は痛む足を揉みながら歩いていた。

「ちょっと此処を抜けて休みましょう。人通りが少し少なくなったら、また流れに乗れば良いわ」

美朱は柳宿に温かなスープを買ってもらい、河川敷に腰を掛けた。

柳宿は自分が着ていた藍色の上着を脱いで、美朱の肩に掛けてやる。

「ありがとう」

「寒くない?」

「うん、柳宿がこれを掛けてくれたから大丈夫」

与えられた上着と、海藻と卵のスープは、身体の底から身体を暖めてくれる。

柳宿の優しさに包まれて、お祭りの太鼓の音や笛の音が、どんどん遠退いていた。


「ねぇ、柳宿。この川原で揺れている火と、あの舟はなあに?」

柳宿は美朱の肩を軽く引き寄せ、川原を流れる幾つもの小舟と、河川敷に沿うように灯された沢山の火を指さした。

「この灯りが入った小舟はね、亡くなった人の魂を地上へ導くために行うの。この星見祭りの夜には、亡くなった人が空から還って来るのよ」

「魂を導く……」

「この国の慣わしでね、気休めかもしれないけれど、この日だけは、私も亡くなった妹を迎えてあげるのよ」




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