宝物
□Star Light Festival
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「そんでな、祭りの準備がどんな案配が気になってん、さっき市街を下りてみたんや。そしたらな、柳宿の顔みたいな提灯が仰山吊るしたってん、面白かったわぁ!」
「ちょっと、私みたいな提灯って何さ!?」
「お、ほぉら提灯みたいに顔が赤くなりよったで。美朱見てみぃ、赤提灯やで〜……ぐほぁ!!」
気付いたら翼宿は、一瞬のうちに扉向かいの壁にぬめり込んでいた。
彼の自慢の一張羅も、壁の塗料がこびり付いているのが見える。
「水も滴る良いオンナに、失礼なことを言うからよ」
「せやかて実際そっくり……ぶふぉ!!」
「―――あの世で嘆くのね、狼さん」
そう言いながら、柳宿は手をポキポキと鳴らした。
「美朱、翼宿なんて放っておいて、私と一緒にお祭り行きましょう!」
「ちょっ、柳宿ぉ!」
太陽のような笑みで笑う柳宿に、美朱は顔を赤らめてて叫んでいた。
……柳宿、
そんな眩しい笑顔を向けられたら、期待しちゃうよ。
……貴方が、欲しい。
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