∞連載Novel∞
□【1】異世界からの来訪者
1ページ/4ページ
初夏のような陽射しが眩しくて
私は目を開けようとしたけど、暗闇から出てきた時のように、ぎゅっと瞼に力が入ってしまう
ここは…どこだろう?
目をとじたまま、耳を澄ましてみる
小鳥たちのさえずりと
ザワザワと木葉が揺れる音
少なくとも、街中じゃない
寝そべっている地面からは、草の匂いがしてくる
こうしていると何故か、五感は懐かしいような不思議な感覚を引き出して
状況を整理するより早く
眩しさに慣れた目を開いて、私はゆっくりと起き上がった
「これって…『異世界の迷宮』?」
辺りをぐるりと見渡すと
私は森の中に立っていて
高い木々の隙間から、透き通った青空が広がってる
「わぁ…」
胸の奥がドキドキするのは、大好きなRPGの世界だからかな
ゲームでしか見たことのない短剣を脇に身につけて
白い革が張られた胸当てと膝当てが、いかにもそれっぽい
…って
そんなこと言ってる場合じゃなかった
早く皆を捜さないと――
「出口の方角は…」
右手に続く道のむこうを見ると、木々が途切れてるのがわかる
抜け道かもしれない
とにかく、街を見つけて情報を集めなきゃ
…RPGの基本よね
私は足早に歩きはじめた