贈り物*゚

□愛、逢、哀
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連日の任務明け。
報告をして自室に入ると、ひんやりとした空気が神田の身を包んだ。
窓の方に目をやると、教団に着いた時には真っ暗だった空が、今や黄色と青のグラデーションを作り出している。
ボスッと鈍い音を立ててベッドに倒れるようにして寝そべり、あとは成り行き、そのまま幾分も経たぬうちに瞼が落ちていた。
寝ているうちに誰かが部屋に入って来たのが気配で察知できた。しかし寝ている神田は体を起こすのも、瞼をこじ開けるのも億劫に感じたためか、少し浮上しかけていた意識を、再び混沌の意識の中へ沈めたのだった。

あれから一時間、否、二時間か。そのくらいしてから自然と目が開いてしまった。
体は未だに重くダルい感じから抜けることはなかったが、仕方なくベッドから体を起こし、着たままで少し皺の入ってしまった団服から腕を抜き、ハンガーにかけた。

「寒……」

いくら夏が過ぎたばかりだといってももう秋が迫ってきている。肌寒く感じるのも無理がないだろう。必要最低限の服を掛けてある部屋の隅に移動し、適当に動きやすそうな、それでいて暖かみがあると思われる上着に袖を通した。
任務明けはどうも休みが入りやすい。今がそのいい例だ。暇を持て余してしょうがない。

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