今日も朝から賑やかに、「ジャッジメーント!」と落ちてきた奴は、いきなりこんな事を言いやがりました。


「やあ!僕が君の公式ジャッジマンになってあげることに決まったよ」

……神様。おめでとー、と押し付けがましく口でぱちぱち拍手してくるこいつを心底うっとうしいと思うのはいけないことでしょうか。

「てゆーか公式ジャッジマンて何ですか」

「今日から君をジャッジするのは僕だけってことだよ!いわばパートナーってやつかな」

すらすらと言いながら、有り難く思いたまえ、と胸を張る審判小僧。
私は思わず眩暈を起こしそうになる。そんな事には構わず、彼は楽しげに公式ジャッジマンの座争奪戦について語っている。

「いやあ、大変だったよ。親分まで参戦して来てね」

「……なんでそんな事に」

「なんでってそりゃあ……



君の反応が面白いからに決まってるじゃないか!」


からから笑いながら言われては、ため息をつくしか無い。
全くこいつらと来たら……

私は痛む頭を押さえつつ、歩き出した。

「お、おい、どこに行くつもりだ?」

焦った奴の声が追いかけてくる。気にせずに歩き続けながら、

「別に。散歩だよ」

最初からそのつもりで部屋を出たのだし。

「そんな!せっかくだから初ジャッジを……」
「審判小僧」

遮るように名前を呼んで、振り返る。奴の驚いた顔を見てにいっと笑ってやる。


「……本当は私と一緒にいたいから、でしょ?」

図星。彼は見る見るうちに赤い顔をさらに赤くしていく。
彼の真意はちゃんと分かっているのだ。この数ヶ月ずっと彼を見てきたんだから。

きっと私の顔も赤くなっているだろう。
でもそんなことは構わない。

「さあ」

私は優しく微笑んで、手を差し出した。


「おいで」



―恋の攻防戦―
(審判小僧)






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