□庇護
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―――見渡す限りの、紅。



此処は何??貴方は何処へ??


……なあ、ヨージ…、いるのなら返事をしてくれ――いつもみたいに、その軽快な声で。その甘い吐息で。


この重圧の中、もしもヨージがいなければ、俺は堪えられない………あらゆるマイナスの感情に押しつぶされそうで、怖くて、怖くて。



………どうか、どうか、お願いだから、ずっと、傍にいて――――――

















命が抜けてただの抜け殻となった最後のターゲットから紫苑を引き抜き、ミッションがようやく終わった。

今回は他の3人は別のミッションがあったしターゲットの人数は多いがほぼ雑魚ばかりだったので俺1人だけでの仕事となった。


紫苑を鞘にしまう。

目の前に広がるものは、倒れ込む沢山の死体と、沢山の、血。
自分がこの目の前の奴らを殺したというのに何故か何も思わなかった。…いや、考えられなかった。





―――――――――――

今日、アヤは単独でミッションを行っている。
アヤの戦闘能力を信じてない訳じゃない。アヤなら大丈夫…だろうけど万が一の事を考えると、とてつもない不安に駆られる。
…それは、アヤを愛している――いや、誰よりも必要としているから起こる感情で。
一刻も早くアヤに触れたい。アヤを感じたい。…ただそれだけを思いながら、ひたすらにアヤの帰りを待っていた。










―――――――――――




どうやって花屋に帰ってきたのかすら覚えていない。

脳の中には霞が掛かってて意識が曖昧なのに何故か胸だけは何かを訴えかけるように強く痛んで。


……いち早く、アイツの温もりに触れたかった。意図的なものではなく本能的なその心が無意識に身体をヨージの部屋へと運ばせる。





―――――――――――

『ギィ……』

力なく開けられた扉が弱く軋む。

「アヤ!!」

オレは姿を確認するのも程々に、アヤの名前を叫んだ。

だが目の前に現れたアヤはまるで魂が抜けてしまったかの様に虚ろで、ミッションが終わってからそのまま此処に来たのだろうか、身体中には誰のものか分からなくなった血がたっぷりとこびりついている。

どこか怪我をしてしまったのか。アヤは大丈夫なのか…ただただそんな不安だけが胸を横切っていく。

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