幻想 −紡ぎ合い−
□13番目
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そのとおり。
とうこさんには、『絶対に一人で行ったらあかんで!!』と釘を刺されて・・・。
ま、最初から、すみかと来る気だったから、まあ、いいかと適当に流してたんだけれど。
「一人じゃないでしょ?すみかと来たし。」
「ああ、まあ、相手役さんやもんね。でも、ほんまにうれしいこと続きやわ〜。」
鼻歌を歌う勢いでちえの機嫌がいいもんだから、何かいいことがあったのかと興味を持ってしまった。
「なに?いいことでもあったの?」
きょとんと私をみるちえに。
あれ?私変なこと言った?と見つめ返す。
肩を竦めて、首を左右に振るちえに。
「なによ?なんなの?」
重ねて聞くと。
「そんなん。決まってますやん。とうこさんのいないところで、ゆうひさんと会えたことがうれしいに決まってますやん。」
なんて言うから。
「そんなのしょっちゅうでしょ?」
思わず、返してしまう。
この前のイベントでも会ったし。
リフレッシュルームでも、お稽古場でもよく会うと思うんだけど。
「でもでもでも。こうやって、うちを観に来てくれたし。それに。」
「それに?」
「歌劇です!!!」
「は?」
「ちえって呼んでくれた!!!」
「はい?」
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