幻想 −紡ぎ合い−
□愛情比較
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そんなことがあって数日後。
たまたま劇団に用事があって事務所に出向き、その帰りに、りかのいる星組のお稽古場をちょっとのぞこうと思ったら。
なんというタイミングか。
星組さんがちょうど、休憩に入ったところだった。
わさわさと教室から出てくる星組の組子の中、りかを探していると、びっくりしたような表情で、でもとびきりの笑顔でとんできてくれた。
「ひろみさん、どうしたんですか?今日、何か仕事ありました?お休みだって言ってたのに・・。」
矢継ぎ早に質問されて、どれから返事したらいいのか迷ってしまう。
「ちょっと用があったから、事務所に顔だしてたの。今から休憩でしょ?」
目線で、リフレッシュルームに誘ってみると、笑顔のりかが、さらに笑顔になりながら、うんうんと大きくうなずいてくれる。
「行きましょ〜。休憩万歳ですね〜。」
うきうきと私の持っていた荷物を当たり前のように手にとり、何気ないしぐさで私の腰に手を回してきて、まるでエスコートするように私を誘導してくれるそのしぐさに。
なんだか、くすぐったくなってしまう。
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