幻想 −紡ぎ合い−
□環境の変化
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「はい。とうこさん特製のお紅茶で〜す。」
笑いを含んだ言い方で、私の前に置かれたのは、見たことのないグラス。
ちょっといびつな形をした、でも、とうこさんらしいセンスのいいグラス。
私の知らない・・・グラス。
じっと見つめて。
そっと口に運ぶ。
・・・・・・。
紅茶の味は・・・・・。
いつもと同じだった。
ちょっと安心する。
なんだか、少ししか時間がたっていないのに、私の知らないとうこさんがたくさんできたしまったようで、置いていかれたような不思議な気持ちになる。
「元気でしたか?」
紅茶のグラスに目を落しながら、横に腰掛けてきたとうこさんにそっと声をかける。
「あほ。なんで敬語やねん。」
「あ・・・。」
「(くすっ)元気やったで。なんかいきなり色々と環境が変わってしまったから、あっというまに時間がすぎてしまったけどな。」
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