幻想 −紡ぎ合い−
□噂を言うもの、そして聞くもの
2ページ/6ページ
「ああ、そっか、あそこ同期だったね。」
「まあ、私の知ってる蘭トムはぶっちゃけ、ヘたれだね。」
「・・・・。そうなの?」
「大好きな子になかなか告白できなくて、やっと告白したと思った瞬間組替えになっちゃって・・・。っていう、要領の悪いというかタイミングの悪いというかとにかく、そんな子。」
「大好きな子?」
「雪のゆみこ。」
初めて興味を示したようにわたしの方に身を乗り出してきて、まじで?っと問いかけてくる。
「そ。別れたって話は聞かないから、続いてるんじゃない?」
しれっと、もともと聞かれた質問からは遠ざかっていたけれど、本当に噂話に疎いよーちゃんをあざ笑うかのように上から目線で話してやる。
ちょっと、むっとしながらも。
そうなんだ・・・。なんて自分で納得しながら、興味深そうに再びテレビに目線を戻す。
「蘭寿さんとゆみこがねえ。」
「そう。」
「へ〜。あのゆみこがねえ・・・。」
「あの、ゆみこ?」
「前に仕事一緒にしたことがあるじゃない。」
.