夢想 −偲び合い−

□愛しい悪魔のおはなし 5題
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1.それは悪魔みたいなものだよ








「ひろみさん。ひろみさんは好きな人いるんですか?」





やっと仲良くなって、色々と理由をつけてご飯に誘って。


何度目かの機会で、やっと手にしたチャンス。


ひろみさんがかなり酔っていた。


いや。


きっとお互いに。


このチャンスを逃がすと聞き出せない。


そう思った私は酔ったふりをしながら向かいに座る愛しい人に何気ない質問のように問いかける。





「ん?テルってそんなこと聞くんだ〜。」





体を軽くゆらゆらと揺らしながらとろんとした大きな瞳でじっと私を見つめながら。


くすっと笑って質問を疑問で返してくる。





「そりゃ、私も女性なんで、そういう話に興味がないわけじゃないですよ。」





ただ、今まで聞きたくても聞けなかっただけで。





「ふ〜ん。好きな人ね・・・・。いる。・・・・いや。いた・・・かな?」





ビールの入ったグラスをぐいっと煽りながらきょろんと目線だけを私に向けて、悪巧みを教えるようないたずらっこのような表情で私をみつめるひろみさん。


いた・・・ということは、過去です・・・か?


多分私の目線が質問していたようで。





「そ。昔ね。でも、組替えで離れちゃった・・・。結局告白も出来なかったし。まあ、しても、どうにもならない程、遠い人だったんだけれど・・・。」





自虐的に微笑みながら、グラスを煽るひろみさんの姿に、尋常じゃない色気を感じている私は、きっともう、あなたを逃がしてあげることは・・出来ない気がします。








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