幻想 −鬩ぎ合い−
□委ねる視線 (熱い視線X)
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タクシーの中、時間が静かに流れる。
私は、ひろみさんの膝の上に頭を委ねながら、ひろみさんの膝をそろりと撫でる。
ひろみさんは、窓の外を見ていたようだったが、私のその行動に驚いたように、私を見下ろしたのが伺えた。
「テル・・。起きたの?」
静かに、ひろみさんが声をかけてくる。
もう少しこのままで居たくて、まだ眠っているふりをしてしまう。
寝ぼけた行動だったんだと思ったのであろうひろみさんが、再び窓の外を見ている様子が感じられた。
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