幻想 −鬩ぎ合い−
□見つめる視線 (熱い視線U)
1ページ/8ページ
ひろみが笑ってる。
確かに笑ってるんやけど、笑顔がひきつってるわ。
そりゃ、今日みたいな日に満開の笑顔でおれるわけないわな。
でも、頑張って笑顔でいてるから。
ひろみが頑張って笑顔を振りまいているから。
そっとしておこう。
そう思ってたのに。
「ひろみ、ちょっといい?」
「あ、はい、なんですか、ゆみこさん。」
涙を大きな瞳一杯にうかべて、今にもこぼれんばかりに溢れさせてたら、
ひろみの努力が無駄になってしまうやん。
そう思ったら、思わず、声をかけてしもた。
.