幻想 -慈み合い−
□瞳
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「ひろみさん、私組替えするんです。」
テルの突然の呼び出しで、どうしても来てほしいと言われて、部屋まで来たんだけれど。
ソファに腰掛けて、テルが出してくれたカップを手にとって、口につけようとした瞬間向かいに座ったテルがぼそりと呟いた。
「え?うん、知ってるけど?」
何を今更言ってるんだろう。
組替え発表はとっくに出てるし、そのための色々なイベントもこなしてきたのに。
「組替えするんですよ?」
「だから、知ってるって。何を今更言ってるの?」
目の前にいるテルは、とても辛そうに顔をしかめて言ってるけれど。
確かに組替えで離れてしまうのは、本当に寂しいけれど。
でも、私だって組替えでこの組へ来たのだし。
新しい組への組替えは新しい人や環境との出会いでもあるんだし。
辛いことばかりじゃないよって、私もちかさんもゆみこさんもみんなが言ってて。
テルだって、もう十分理解していたようだったのに。
やっぱり、土壇場に来て不安になってきたのだろうか。
「どうしたの?やっぱり不安になってきたの?」
そっとテルの手に手を乗せて、覗き込んでみる。
「そうじゃないんです。そうじゃない。」
「ちがうの?じゃあ、何?」
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