幻想 -慈み合い−
□苦いバレンタイン
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さっきからずっと、目線を感じる。
鏡越し。
なに?何かしたっけ?
だんだんとイライラしてきて、我慢できなくなって思わず本人の元に歩み寄る。
「づっくん。」
「・・はい。」
「なんなわけ?さっきから!」
「何がですか?」
すっとぼけちゃって!
「なんでさっきから、じとーっとした目で私を見るのよ。私何かした?」
「自分に胸に手を当てて今日一日の行動をよく考えてみてください。」
ふいっと視線を鏡に戻して、素化粧をしだしたづっくん。
そのあといくら声をかけても振り向いてくれなかった。
仕方なく、自分の化粧前に戻った私を待ち受けていたのは。
「ひろみ、何したわけ?」
隣からこそこそと話かけてくるヒメだった。
そんなの私が知りたいって!
「ちょっと、わかんないわけ?絶対何かしてるんだから!思い出してみなさい。」
周りの空気なんとかしてよ!
と言われて、はじめて私たち85期86期あたりの周りが異様に緊張しているのがわかる。
普段穏やかなづっくんが無口になって、怒ってますオーラ満開にしているもんだから。
なんだか、下級生たちにも伝染して行ってるようだ。
「ほら!」
ヒメに促されて、言われたとおりに今日一日の行動を思い出してみる。
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