夢想 −褒め合い−
□好きの度合い
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「音さん。」
気がつくと隣に座っていたかなめの長い腕が、ぼおっとかなめの顔に見とれていた俺を引き寄せ、抱き込んでいた。
その壊れ物を扱うようなやさしい抱擁に、ちょっとおたおたしてしまう。
「か、かなめ・・。離れろよっ・・。」
「どうして?」
抱きしめる腕は緩めずに、そっと覗き込むかなめのそのまなざしに、動けなくなってしまう。
「どっ、どうしてって・・。」
ん?ちょっと小首をかしげて、聞いてくるその姿にも心を奪われてしまうんだけれど、だ、だめだ、流されたらだめだ。
俺は慌てて、かなめの腕から逃れて、ソファを後ずさったんだけれど、すぐにかなめの長い腕が追いかけてくる。
「こら、なぜ、逃げるんですか。」
「え・・いや、だって。」
そりゃあ、そうだろう。
こんな展開を予想して来たわけじゃないんだし・・。
って予想してなかったわけじゃないけれど、だからって、はいそうですかって訳には行くわけがない。
「ここまで来てじらさないでくださいね。」
「じ、焦らしてなんか・・。」
「僕は、音さんのすべてが欲しいんです。
本当は音さんを閉じ込めて誰にも見せたくないんです。」
「か・・かなめ?」
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