夢想 −褒め合い−

□図書館の眠り姫
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メールひとつであわてて飛んできたら。


当の本人は窓辺でまどろんでいた。





「祐飛。」





軽く肩を揺すってみるが、もちろん起きる気配は・・・ない。


こいつはいつもそうだ。


今日だって、生徒会での仕事はまだ残っているというのに。





『ちょっと来て。』





そんな一言のメールだけで、俺を呼びつけるんだから。





「あ、瀬奈さん、どうしたんですか?」





後ろから声をかけられて振り向くと、笑顔の彩那が立っていた。


軽く肩を竦めて、目線で祐飛を見下ろすことで、何を言わんとしているか、わかったらしい彩那は、うふふと笑った。





「助っ人って瀬奈さんだったんですね。助かります。でも、今日は生徒会じゃなかったんですか?」


「え?助っ人?」


「違うんですか?祐飛さんが、書庫の整理一人じゃ大変だろうから助っ人を呼んでやるってさっき。」





ちょっと小首をかしげてきょろんと見つめられて。


なんだかすべてがわかってしまった。


まあ、いつものように図書館に惰眠を貪りに来た祐飛は。


彩那が一人で本の整理をしているのを見て、助っ人を呼んでやると、親切心を働かせた。


でも、手伝うのは決して自分ではなくて。


こうして、メール1本で呼び出された俺ということだろう。





「ああ、うん。多分正解。生徒会は、うん、まあ、水がいるし、なんとかなるよ。助っ人って、何手伝えばいい?」





たぶん、祐飛は当分目覚めないだろうし、今起こしたら、後が怖い。


こいつの安眠を妨げることほど、恐ろしいことはないと普段からしっかり把握しているから。


とりあえず、目覚めるまで待つしかないだろう。


どうせ、こいつを置いて帰るなんてことできるわけがないんだし。


今更生徒会室に戻って、残してきた書類の整理に追われるくらいなら、ここで彩那を手伝ってやる方が、いいだろうと、考えた。








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