夢想 −褒め合い−
□無自覚のつわもの
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生徒会の仕事は好きじゃない。
なぜなら、放課後の時間がとられてしまうから。
もう少し早く彩那さんと出会っていたら、間違いなく引き受けてはいなかっただろう。
でも、引き受けた以上、最後まで責任を持ってまっとうしなくては自分が許せない。
そんなジレンマに苛まれながらも、今日も、会議に参加する。
本当は、昼間、ふてくされて彩那さんと別れてしまったので、できるだけすぐに会いに行きたかったんだけれど。
ほんと、どうして僕って大人になりきれないんだろうって悔しくなってしまう。
でもしてしまったことは仕方がないので、とりあえず、急いで彩那さんのところに飛んで行きたい、そんな気持ちをぐっと抑えて会議に集中する。
会計という立場では、会議中特に何をしなくてはいけないということはないのだけれど。
多分今後、色々なことを担っていかなくてはいけなくなるだろうことは、わかっていたので、周囲の先輩たちの動向を見逃さないように逐一確認する。
いつみても、頼りがいのある瀬奈先輩は今日も、嬉々として積極的に会議を動かしている。
ああいう人がいると、会議は活気がでるから、参加し甲斐がある。
ぽんぽんと、意見を平等に下級生にまで求めてくれて、発言の場を与えてくれる。
逆を言うと、いつ、発言が求められるか判らないから、一瞬たりとも気が抜けない。
だから、みんな色々な意見を言い合い、その結果、最善の策が生み出されるということだろう。
今年の生徒会は優秀だと、評判なのは、ひとえに瀬奈会長という人のおかげだろう。
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