夢想 −褒め合い−
□一途な気持ち
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自習の時間。
出された課題はとっくに済ませて。
ただ、ぼおっと窓から空を眺めていた。
今日は風が強いらしく、雲がどんどん流れていく。
校庭を見下ろすと、1年生が短距離走をしているのが見える。
そういえば、去年俺も走ったよな。
短距離走のタイムトライアルの授業は、その瞬間だけはとても大変だけれど、計り終われば、あとは何をしていても特に注意を受けるわけじゃないから、比較的楽が出来る。
だけど、その実、この短距離のタイムで来月行われる体育祭のリレーメンバーが選出されるから、結構重要なんだ。
リレー選手に選ばれるのは一種の花形だから。
そりゃみんななりたがる。
でも、1年生は、まさか、体育の授業のタイムできまるなんて知らないだろうから、メンバーが発表されたときはなかなかの驚きがあるんだよな。
ああ、遠麻に教えてあげればよかった。
あいつは、絶対リレー選手に選ばれたがるだろうな。
あ、でも、あいつならたとえ体育の授業でも全力で走るだろうから、大丈夫かな。
あの中にいるだろう幼馴染の遠麻のことを思って校庭を見下ろしたとき。
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