夢想 -過去拍手2-

□タイトル未定
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「今日はお稽古何時に終わる?」




出かけようと荷物を担いだちょうどそのときに声をかけられた。




「え〜わかんないけど、まだ台本が仕上がってないからそんなに遅くならないよ。」




玄関に移動して、靴を履こうとした瞬間ぐいっと腕を捕まれて後ろから抱きしめられる。




「何時に帰ってくる?」




そっと耳元で囁くように言われて。


瞬間的に体が熱くなる。





「わ・・・かんな・・・」




べろりと耳を舐められて。


後ろから抱きしめていた指先がシャツの中に入ってきて。


思わず、仰け反ってしまう。


待っていたように喉元に噛み付かれて。




「ねえ。早く帰ってきてくれるんでしょう?」




念を押すように囁かれて。


お願いだから喉に噛み付いたまま言わないで。


もうただ、がくがくと首を振ることしか出来なくて。




「ひろみさんの好きなもの用意しておくから早く帰ってきてね。」




私が頷いた瞬間、抱きしめられていた腕が緩められ。


喉元を舐めていたくちびるが離れていく。




「・・ああっ・・・っ」




思わず、離れないでって言いかけて。


口を噤んでしまう。




「うふ。ひろみさん。続きしたかったら、早く帰っておいで。帰ってきたらいっぱい続き、してあげるから。」




トンと肩を押されて、玄関からでてしまう。




「いってらっしゃい。」




にっこり悪魔のような微笑を貼り付けた笑顔で送り出されて。


目の前でばたんと扉を閉じられてしまう。










悪魔だと思う。


でも、そんな悪魔に愛してもらいたいと思う。


だからきっと今日も少しでも早く。


帰るべく努力をしてしまうんだろう。









End ⇒ あとがき


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