幻想 −紡ぎ合い−
□芝生
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深い緑に囲まれた公園をテクテクと、2人と1匹で、歩く。
まるで、家族みたい。
ふふふっ。
小さく心で、笑って。
でも、表情には出さず。
涼しい顔をして、ソフィのリードを握る。
あ、あった。ここ、ここ!!
「テル、あの芝生!気持ちよさそうでしょ?」
「あ、ほんとだ。」
「ね〜。ちょうど日陰になってて気持ちよさそう!ごろんってしよ〜♪」
「服汚れるよ?」
「え〜そんなの気にしない!洗えばいいじゃない。」
「ま、そうだね。本当に、気持ちよさそうな芝生!あ、私、はだしになろっと。」
「あ、ずるーい。私も〜!!」
二人で、きゃっきゃ言いながら、履いていた靴と靴下を脱ぎ捨てる。
「きっもちいいね〜♪」
「そうだね。気持ちいい。ほんと。気持ちいい。」
「やっぱり、来てよかったね。ちょっと暑いけど。」
「たしかに。でも、初夏ですから、こんなもんじゃないんですか?」
「あ〜!!はい!テルの負け!!」
「え?え?使ってませんよ?」
「って、すでにそれが、敬語になってるじゃない。はい。まけ〜。」
き〜くやし〜!じたばたと騒ぎながら、芝生の上をごろごろしてるテルに。
うふふって笑ってしまう。
「負けは負けだからね。何してもらおっかな〜。」
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