幻想 −紡ぎ合い−
□13番目
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「あ〜!!!ゆうひさ〜ん!!!!!」
とりあえず、幹部部屋に挨拶に行って、さて、大部屋に顔を出そうとした瞬間。
大きな大きな声で叫ぶ声。
ほらみろ。
いっせいに振り返られてしまったじゃないか。
呆れ顔でいる私になんてお構いなしに、化粧しかけの顔で走りよってくるちえ。
「今日、観るから。」
とりあえず、この注目をなんとかしたくて、早々に立ち去ろうと、完結なコメントだけをして、速攻で踵を返そうとしたのに。
私の腕を掴むな!
「ゆ〜ひさん。めっちゃうれしいです。ほんまに来てくれたんですね〜。ちえ感激です〜。」
言いながら私の腕に抱きつくな!
「暑苦しい!離れろ!!」
「え〜。なんでそんな冷たいこといいますん〜(涙)折角会えたのに。まだ、時間ありますやん。ちょっと座りませんか〜。」
ぐいぐいと私の腕を引っ張るな〜!
と思うんだけれど。
まあ、やっぱり、かわいいちえの晴れの舞台。
やっと観に来ることが出来たんだし。
仕方がないので、とりあえず、ちえの化粧前の辺りに座る。
「ちえ、ほんまに感激です。約束したけど。観に来てくれるって言ってくれましたけど、ほんまに来てくれるなんて・・・。」
「何?私がうそをつくとでも思ってたの?」
「え?ちゃいますけど!絶対、とうこさんが『一人で行ったらあかん!』とかって言ってるかと思って・・・。」
お。なかなかいい読みしてるじゃない。
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