幻想 −紡ぎ合い−
□環境の変化
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少しの間、休みが出来て、やっぱり東京に戻ってきた。
東京に戻ったからといって実家に帰るわけではないのだけれど、やっぱりふるさとは、東京だななんて思ったりもしている。
「お邪魔します。」
「あ〜いらっしゃい。待ってたで〜。」
環境が変わって、こっちに居住を移したとうこさん。
自分自身のおかれる立場もまた変わった。
在団中はとうこさんはとても忙しい立場だったけれど、環境の変わった今、少し生活に余裕が出来てきたみたいで、部屋の中がすっきりと片付いていた。
なんだか知らない人の部屋に来た気分。
確かにこの部屋に来るのは初めてだったけれど、でも、あまりにも片付いていてなんだかな・・・、って思ってしまう。
環境が変わったことを身を持って知ってしまった気分。
「きれい・・・。なんだか、とうこさんの部屋じゃないみたい。」
「なんやねん、それ、感じ悪〜。私かってやれば出来るの!」
くすりと笑いながら、軽く私の頭をはたいて、キッチンに入るとうこさん。
私はそんなとうこさんを目で追いかけながら、とりあえず、リビングにあるソファに腰を下ろす。
うん。ソファは前と一緒、足元でじゃれあってる、チビたちも同じ。
当たり前か。
そんなことを思っていると、両手でグラスを持ちながらとうこさんがリビングに戻ってくる。
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