幻想 −紡ぎ合い−

□噂を言うもの、そして聞くもの
1ページ/6ページ






「あさこ。蘭寿さんってどんな子?」


「蘭寿さんって・・・。しゃべったことないわけじゃないでしょうが・・・。」





のんびりとソファでくつろぎながら、何気に流れていたCSのニュースでちょうど蘭寿トムが映っているのを見て思いついたのか、それとも、宙組に組替えになったから宙のことも知らないとって思ったのか、どちらにしても、よーちゃんにしては、珍しい質問で。


それでいて、よーちゃんらしい漠然とした質問だった。





「一緒に何かした記憶薄いし・・・。というより、私あんまり周りに興味ないし。」


「知ってる。」


「・・・。参考程度に聞いただけだし。」





恥ずかしくなったのか、それとも、自分でもなぜ気になったのかわかっていないのか、少し赤くなった頬を隠すように軽く前髪を撫でつけながら、でも、テレビから目は外さないで聞いてくる。





「まあ、私に聞くより、壮さんに聞いたほうがいいんじゃない?あっこ同期でしょ。」





言われて初めて知ったようなきょとんとした表情で、私を見つめるよーちゃんのつぶらな瞳に吸い寄せられてしまう。


でも、当の本人はああ、そうなの?って顔でさらっと目線をテレビに戻してしまう。







.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ