幻想 −紡ぎ合い−
□噂を言うもの、そして聞くもの
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「あさこ。蘭寿さんってどんな子?」
「蘭寿さんって・・・。しゃべったことないわけじゃないでしょうが・・・。」
のんびりとソファでくつろぎながら、何気に流れていたCSのニュースでちょうど蘭寿トムが映っているのを見て思いついたのか、それとも、宙組に組替えになったから宙のことも知らないとって思ったのか、どちらにしても、よーちゃんにしては、珍しい質問で。
それでいて、よーちゃんらしい漠然とした質問だった。
「一緒に何かした記憶薄いし・・・。というより、私あんまり周りに興味ないし。」
「知ってる。」
「・・・。参考程度に聞いただけだし。」
恥ずかしくなったのか、それとも、自分でもなぜ気になったのかわかっていないのか、少し赤くなった頬を隠すように軽く前髪を撫でつけながら、でも、テレビから目は外さないで聞いてくる。
「まあ、私に聞くより、壮さんに聞いたほうがいいんじゃない?あっこ同期でしょ。」
言われて初めて知ったようなきょとんとした表情で、私を見つめるよーちゃんのつぶらな瞳に吸い寄せられてしまう。
でも、当の本人はああ、そうなの?って顔でさらっと目線をテレビに戻してしまう。
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