夢想 −過去拍手−
□素直じゃない
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すっかり秋めいてきて、すごしやすい季節になった。
まあ、別に秋が好きかと聞かれると嫌いではないけれど、一番好きなわけでもないと答える程度だ。
けれど、それでも、食欲の秋とか、読書の秋というくらい、何をするにもいい季節だなとは思う。
そろそろ、今の公演も終わるし、まとまった休みを取れることだし、ゆっくりのんびりどこかに旅行でも行きたいな〜
なんて考えながら、劇団の廊下を帰っていた。
たまたま通った空き教室の中に、人影を見つけて、何気なく覗き込んでしまった。
本当に偶然。
普段なら、気にもせず、通り過ぎるのに、このときはなぜかふと、本当にふと、覗き込んでしまった。
その瞬間。
ぱしっ!
派手な音と共に
「ばかっ!」
という叫び声が聞こえたかと思うと、突然目の前の扉が開いて、誰かが飛び出してきた。
もちろん、目の前の扉が開いたのだから、その人物と正面衝突するわけで。
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