幻想 −秘め合い−
□沈黙U
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朝、目が覚めると、暖かい腕に抱かれていた。
ぎゅっと抱きしめてくれている腕から、抜け出したくなくて、
そろりと頭を動かして、隣をそっと見てみる。
私を抱きしめているのは、もちろんゆみこさんなんだけれど。
なぜ昨日あんなにひどく不機嫌だったのか、結局教えてはもらえなかった。
というより、昨日・・・。
途中から記憶がない・・・。
リビングで抱かれて、その後、ベットルームに場所を移してから、再び、愛し合ったんだけれど。
そのときも結局、いつものやさしいゆみこさんの笑顔を見ることが出来なかった。
ゆみこさんはいつもやさしく、微笑んで、私を安心させてくれるのに、
昨日は無表情で、笑顔をまったくみせてくれなかった。
私に怒ってるんだということは、もちろんわかっている。
でも、何に怒っているのか言ってくれないと、あやまることも出来ない。
ごめんなさいって、言うタイミングさえ昨日は与えてくれなかった。
それも、不機嫌を、あんなふうに態度で示されたのも初めてで、正直本当に怖かった。
そんなことを思いながら、ゆみこさんを見ていると、ふわりと、ゆみこさんの目が開いた。
思わず、びくっ!ってしてしまい・・・・。
朝いちで、また、ゆみこさんを不機嫌にしてしまった。
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