幻想 −秘め合い−
□沈黙
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今日の私は機嫌が悪い。
それは、もちろん、ひろみのせい。
だから、今日は、許さない。
私が不機嫌なのをひろみは敏感に読み取っているようだ。
さっきから、ちらちらと私の様子を伺っている。
「ひろみ、こっちにおいで。」
幾分低い声でひろみを呼び寄せる。
ちょっとおどおどしながらも素直に近づいてくるひろみ。
「ここに座って。」
ソファに凭れてラグの上に座る私の前に、腰掛けさせる。
ぺたんと座って、おどおどと私を見上げてくるひろみに、無表情のまま、
あえて、ゆっくりとひろみのボタンをひとつずつはずしていく。
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