幻想 −紡ぎ合い−

□愛情比較
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笑顔で笑いあいながら、リフレッシュルームに入ると。


ちょうど、入り口の近くを陣取っている花組生に目が行った。





「あ〜ゆうひさん〜♪」





りかが横にいたのも忘れて、ぴょんぴょんと飛び跳ねるように花組生に囲まれていたゆうひさんに声をかける。





「ひろみ。久しぶりだね。」





ゆうひさんも、花の組子に軽く断りをいれながら、私の傍に来てくれる。


思わずゆうひさんの首に腕を回して、勢いのままぎゅっと抱きついてしまう。





「も〜。ひろみ、相変わらずだな〜。」






そういいながらも、ぽんぽんと背中を優しく撫でてくれるゆうひさんにうれしくなって益々ぎゅっとだきつく私。





「ゆうひさん、最近全然あってくれないんだもん。ほんと、薄情者なんだから・・・・。昔は家にもよく来てくれてたのに、最近は全然だし・・・。」





ゆうひさんに抱きついたまま、思わず、恨み言を言ってしまう。


だって、本当に、最近まったく接点がなくなってしまって。


お互いに公演を見に行ったり、来てくれたりすることでいっぱいいっぱいな感じで。


そりゃ、ゆうひさんが今一番忙しい時期なのはわかってる。


実際に姉という存在が、同じことを経験していたから、いつも傍にいた私はその忙しさが手に取るようにわかっていた。


でも、少しくらいかまってほしいなんて思ってもいいじゃない。


だって、私ゆうひさんのこと大好きなんだもん。


そういう気持ちが表情に出ていたのか、苦笑いしながら、やさしく私を自分から剥がしながらも、労わるように、でも甘やかすような優しい笑顔はそのままで私を覗き込み、そっと甘い言葉をかけてくれる。





「相変わらずひろみは甘えたさんだね。じゃあ近いうちにご飯行こうか?」





私に目線を合わせるためにちょっと覗き込みながらいたづらっ子のような笑顔で聞いてくれて。


うんうん!と思わず大きくうなずいてしまう。


そうしてから、あまりにも子供っぽい仕草をしてしまったということに気がつき、頬が赤くなってしまう。





「でも、後ろでとっても私のこと睨んでる人がいるから、あれをなんとかしてね。」





にやりととっても意地悪な顔をして、私も見つめながら。


まるで見せ付けるように、そっと私の顎に指をかけたかと思うと、そのまま、そっと頬に口付けられる。




きゃあ〜!!




遠くで黄色い歓声が上がったことには気づいたけれど、それよりも、後ろからの穴が開きそうないたい視線と、冷たい冷気にぞくりとしながら、ゆうひさんも相変わらず・・・・。なんて思ってしまう。


また連絡して。当分休みだから。


そう言ったゆうひさんは、ふにゃりと微笑を作って、ちらりと後ろに視線を送りながら、でも、約束ね。と、口唇の前に人差し指をたてて、内緒の約束って企んでそうな笑顔とともに、華やかなオーラと花組組子を引き連れて、出て行った。


残された私はといえば。


さて、どうやってこの後のりかの不機嫌さを取り繕えばいいのかとか。


なんのために、りかの方がかっこいいよ。


なんて言って、機嫌をとってたんだよとか。


結局この瞬間にそのすべてが水の泡になってしまったじゃないか・・・なんて、色々と考えてしまう。


ああ、私って、ほんと。。。。ばか・。。。。




さて、覚悟を決めて後ろを振り向こう・・・・。








End ⇒ あとがき



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