幻想 −馴れ合い−
□せつなさを慰めて
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楽屋なのに。
下級生だけじゃなく、上級生もいっぱいいるのに。
そんなことさえ考えることもなく、ただ、テルに触れたくて。
抱きついてしまう。
最初はあせっていた様子のテルも、ぎゅっと抱きしめ返してくれる。
「ほんと、めずらしいですね。さびしくなっちゃいましたか?」
そう私の耳元で囁きながらも、抱きしめてくれるテルのやさしさに、ますますうれしくなって。でも、悲しくなって。
もう、自分自身をコントロールできなくて。
とうとう嗚咽をもらして泣いてしまう。
「泣かないでくださいよ。泣いていいのは、私と二人っきりのときだけですよ。」
見えなくても、にやりと妖しく笑ったのが目に浮かぶような声色で、私に囁くテルに、泣きながら、でも、思わず笑ってしまう。
「何言ってんの・・、もう・・・エッチなんだから・・・。」
泣き笑いになってしまったんだけど、でも、おかげで、笑顔を作ることができた私に、ほっとしたような、でも本気ですよ?って眼差しで私を見てくれるテル。
きっと、次の瞬間にはまたさびしくなってしまうんだろうけれど。
そのときは、また慰めてくれるよね。
たとえ、そのときそばにいなくても。
私たちはこれからもずっと一緒・・だよね・・・?
End ⇒ あとがき
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