幻想 −馴れ合い−
□怒りの矛先
3ページ/8ページ
ひろみさんの笑顔が凍りついたのがわかった。
今さっきまでの、魅惑的な笑顔から一変して。
氷のように冷たい冷酷な笑顔になって。
軽く口角を上げて。
私の襟を掴んだかと思うと、ぐいっと力を入れて自分のほうに引き寄せる。
そして、耳元に口を寄せてきてそっと囁く。
「テル。浮気するのは勝手だけれど、私の耳に入らないようにしなよ。」
「・・・え?」
「私、そこまで寛容じゃないから。」
「え・・・?ひろみさん・・?」
そのまま、ひろみさんは、にやりと心悪い微笑みを私に向けて。
そのまま私の襟を離して、ソファに腰掛ける。
私といえば、意味がわからず、呆然と立ち尽くしてしまう。
浮気?
私が?
何?
どういうこと?
頭の中が真っ白になる。
.