夢想 −偲び合い−
□甘い恋 10題
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正直、飛び上がってしまうかと思うくらい、体が宙を浮いていて、手をつないでいるということも、それが舞台上、
すなわちお客様の目に触れているということも、何も頭が回らないくらい記憶がとんでいた。
袖にはけた後、ゆみこさんは、笑いながら、
「昨日みたいにひろみが転びそうになったら大変やから。」
そう言いながら、手を、ニギニギってして、ふふってほほ笑んでくれた。
「ありがとうございます。」
かろうじてそう返事は出来たけれど、たぶん、真っ赤になっていて、気持ちは舞い上がっていて、そのときのことなんてあやふやにしか覚えていない。
にこにこと笑いながら、私の頭をクシャって撫でてくれて、そのまま、あわてて早変わり室に飛び込んでいったゆみこさんを目で追うのが精一杯で。
後ろから、らぎにせっつかれて、あわてて自分も早変わり室に飛び込んだことだけ覚えている。
それ以来、毎日の習慣のように、この場面の暗転の後二人で手をつないではけていく姿は、組子内でも、しだいに噂になっていたみたいだけれど。
ただ、私とゆみこさんだから。
どれもこれも、ほほえましいということで、暖かく見守られていた。
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