幻想 −秘め合い−
□沈黙
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煌々と明かりの灯ったリビングで、向かい合ったまま、
自分だけが裸になっているということで羞恥したのか、ひろみが、真っ赤になりながら俯いてしまう。
じっくり体の隅々まで、痕跡が残っていないか舐める様に見つめる。
そんな私の様子には気づかずに、目線を下げているひろみにイライラしてしまう。
「顔、上げて。」
「・・・・・。」
恥ずかしそうに俯いたまま、わたしを見ようとしないひろみに、
尚も畳み掛けるように同じ言葉をかける。
「か・お。上げて。わたしの瞳をみて。」
言い方が恐かったのか、今日は許してもらえないと思ったのか、そろそろと顔を上げるひろみ。
ひろみの瞳を見据えながら、あえて最後まで瞳をそらさず、
目を開けたままひろみの口唇にキスを落とす。
始めは、啄むように。
そのうち、あえて、下唇だけを執拗に甘噛みしたり、舌で舐めたり。
その時もひろみの様子を見つめたまま。
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