幻想 −紡ぎ合い−

□甘く黒い画策
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人がまばらになった楽屋で、そろそろ帰ろうと準備をしていたとき。


なきそうな顔で近づいてきたづっくん。


なにかあったのかな、そう思って。


でもすぐ、きっとまた、テルがらみなんだろうとわかってしまう自分がちょっといやになる。





「づっくん、どうしたの?」





鏡越しにづっくんを見つめてやさしく聞いてみる。





「これ、読みました?」





うつむき加減に、差し出してきたのは、今月号のグラフ。


ごめん。


正直にいうと、ゆうひさんのところしか、まだ見てない。


だって時間がなくて。


という、言い訳を心の中でしながら、きっとその記事のことではないだろうことはわかっていた。





「ううん。見てない。なにが載ってるの?」





そのグラフを受け取りながらぱらぱらとめくって・・・・。


ああ、これか、とまたわかってしまう自分。


ちょうど開いたページを見て。





「そうです。そこ・・・。ぐっちゃん・・・・。」





軽く流し読みをして、どこに引っかかったのかあたりをつける。





「づっくん、花火したかったの?」


「・・・・。だって、ぐっちゃんと毎年してたのに・・・。今年は出来なくて。」


「私としたでしょ?楽しくなかった?」





グラフをぽいと脇に置いて、づっくんのほうに体をむける。


私の前に大きな体を小さくしながら座っているづっくんを静かにみつめながら。


そっと軽く目の前の髪を撫でる。








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