短編

□まだまだ宜しく相棒
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ぱしんと乾いた音が響く。案外軽く叩かれたと思うが今の俺にとってそれは致命的で、

「痛い!傷口が裂けた!」

「…平助、お前本当に大袈裟だな」

「うおー…痛いんだってば」

新さんの言う通りそうかも知れないが、事実、痛いのだ。
池田屋で受けた額の傷まだ完全に完治した訳ではない。ふとした拍子に傷口が開いてしまいそうでひやひやする。

「そっちはどう?」

ちらりと見えた新さんの左手。
剣士としてはそっちの怪我の方が一大事だと思う。
きつく捲かれた包帯が痛々しく見えた。

「ああ、これ?」

「大丈夫なの…刀持てそ?」

「平気平気。こんなんで僕の剣士生命断たれても困るし」

剣士生命て…
俺の目の前で左手の指を伸ばしたり縮めたりして動きに支障がない事を示す。おまけに平気そうに笑ったりして、そんなんで俺や皆が安心する訳ないよ新さん。

「嘘くせー…」

「あ?なんだよ僕が嘘つきだとでも?」

そうです。
とは口にしなかった。したら次は拳固が飛んでくるに違いない。でもきっとさっきと同じでわざと怪我の部分は避けるんだろう…。
そうやって労ってくれるなら叩かなくても良いじゃないか、もう。

「でも死ななくて良かった。」

「誰が?新さんが?」

「平助が」

思いもよらない返答にえっ。と言葉が喉で詰まる。そんな俺とは裏腹に「だろ?」と新さんは笑っていた。
何時も思うがなんでこの人そういう言葉簡単に言えるのだろう。その余裕分けてほしい。

「平助いなかったら面白くない」

「え、それ喜んでいいの?」

「解釈はお任せする」

だったら俺も言わせてもらうけど、

「新さんが手の怪我で離隊したら俺泣くから!」

「なんでだよ!」



まだまだ宜しく相棒

隣からいなくなるなんて有り得ない。



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「お前いないと面白くねーんだよ」って一度でいいから友達に言われたい。

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