短編
□尾形君の絶対防御
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特に用もなく、ふらふらと屯所内をふら付いていると、とある男が此方を見ているのに気が付いた。
そしてその視線が普通ではないことにも認めたくはないがなんとなく気が付いていたのだ。
「…。」
わざとらしいとは思ったのだが、気が付かないフリをしてそのまま歩き続ける。その男が無事に通り過ぎることを祈って。
話し掛けられたら終わりだ。
「…。」
「……尾形くん、」
「…あ、どうも武田さん」
終わった。
嗚呼、畜生、何で話し掛けてくるんだこの野郎。
武田さんには分からない様、小さく溜め息を吐く。
武田観柳斎といえば新撰組の中では男色家として知らない者はいない。ある意味有名人で、
つい最近、八十八も被害にあったばかりで、突然、今にも死にそうな顔で泣きながらしがみ付いて来たときは流石に吃驚した。
最初は他人事のように思っていたのだが、この前、武田さんが尾形がどうのこうのと俺について語っていたと新八から聞いたばかりだった。
てっきり冗談だと思っていたんだけどな。
とりあえず、自然に接しようと目を合わせる。普通にしていればこの人も何もしては来ないだろう。…多分。
「どうしたんですか?」
あ、今自分の声が裏返った気がする。
一応、さりげなく数歩下がって距離を置いた。
「今、暇かい?」
「あー…ちょっと…」
暇じゃないです。全然。
気まずそうに目をそらすと、何時の間に間を詰めたのか一歩手前に武田さんがいてポンと左手を肩の上に置いた。
まるで逃がすまい。と言っているようで正直、怖い。
蛇に睨まれた蛙か、俺は。
「ああ、少しでいいんだ。副長に使いを頼まれてね。」
「使いですか」
あぁ、なんだそれだけかとそっと胸を撫でをろした時、
「……!!」
肩にあった筈の手がするりと腰に移動していて、おもわず飛び上がりそうになった。こんの野郎。
「ちょ、」
耐え切れず手を払いのけようとしたとき、フッと何かが俺と武田さんの間を掠めた。その物体の正体を確認する前に武田さんは反射的に飛びのき、俺は刀の柄に手を添える。
その物体はほぼ垂直に見えるほど綺麗に遠くの柱に深く突き刺さっていた。苦無だ。
…まさか。そう思って飛んできた方向に目をやる。
「あ」
「…すんまへんなぁ…」
そこには、
珍しく仁王立ちしてこっちを睨んでいる烝がいた。
「武田はんの裾に蝿がおってん。堪忍な。」
武田さんの身が危ないと感じた俺は、あわてて振り向いたが、そこにはもう武田さんの人影すら残っていなかった。
尾形君の絶対防御
彼がいる限り尾形の身の安全は保障されます。
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好きですよ、武田さん←
男色ネタは絶対やろう思ってた
当サイトの武田さんはきっとショタコンだと思うな!
なんだ管理人と一緒じゃん!(殴
いや、好きですよ、武田さん(大事なことなので二度言いました