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 リジリと夏を感じさせる蝉の鳴き声から、すんと一本冷たさの張った朝の空に泳ぐ蜻蛉を見かけワイシャツ一枚では身震いを感じる9月中旬に秋の訪れを思う。

今年の夏は夏と感じる前に秋になっちゃったなあ、とウォークマンから流れる曲に合わせて自転車の軋むスプリングで音を刻む。


何時もならギスギスと騒ぐスタンドに嫌気が差すのに、今日の朝は気分がすっきりとしているせいかそれすら映画のワンシーンのように心に響く。


「じーん〜!」


聞き慣れた声がイヤフォン越しに耳に入り、少しスピードを落とし後ろを振り向くとふわふわと踊る髪を揺らしながらこちらに向かってくるのは利央で、朝日を受けて反射する金髪が眩しい。


「はよっ!」
「はよう。休み明けテストどうだった?」
「えー…、何時も通りだよ〜。あっ、でも」


窓辺で温かいスープを飲むような心がほっこりする映画のワンシーンが、自転車が電柱に激突するけたたましい音によって一気にコメディ映画となった。



は?100点?



「ちょっ、準さん大丈夫?!カゴ変形してるんだけど!」
「大丈夫だいじょうぶ。え、何?古典が100点?普通だろフツー」
(準さん凄い動揺してるよ−…。)





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実は結構すごいんです。


09,09,18



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